外資系リーマンのゆるコミット

必ずやります、たぶんそのうち

35歳になって成長意欲が無くなった、かもしれない話

自分の中では結構驚きである。

そして、非常にまずい。

いや、本音では、まずいとは思っていないのかもしれない。

この状態を静かに受け入れ、理解しようとしている自分がどこかにいる。

そう、35歳になって成長したいという欲求が無くなってきたのである。

何もいきなりこんな状態になったわけでは無く鬱病の類では無い。

その足音は静かに近づいていた。

30歳を過ぎてから、まるでコップの中で溶けて行く氷のように、徐々に少しずつ薄く、小さくなってきた、ガムシャラ感、強い向上心、膨らむ自己顕示欲というものが、いよいよ消滅しつつあることを感じているのである。

それらに伴い、成長意欲というか、労働意欲のようなものが消えかけている。

こんな状態に自分が陥ることになったのは、10年前の自分からすると大分衝撃である。

元々、寝ても覚めても仕事、というほど仕事ばかりしているタイプでは無かったものの、男は仕事だろ!仕事で成り上がるぞ!くらいの、それなりにエネルギーに満ちたギラギラした考え方は持っていた。

新卒2-3年目、日々の仕事をこなしながら、朝6時に起きて近くのケンタッキーで資格や英語の勉強に励む日々。提案書のクオリティを上げるため、土日もパソコンの前で阿修羅の表情。

そしてその当時は、電車でマンガを読みながら出勤するおじさんや、ランチの時にゴルフの話しかしない中年社員を軽蔑したりもしていた。

もっと仕事のことを考えろと、プロ意識も持ってストイックにやれ!と。

それが今やどうだ。

 

通勤時間のマンガ、めっちゃ楽しい。

ランチの時、めっちゃビール飲みたい。

早く、帰りたい。楽したい。

朝起きるの、無理。

土日、仕事のこと忘れたい。

めちゃくちゃ休みたい。昼まで寝てたい。

田舎で暮らしたい。

どうしてしまったんだ、俺は。

こんなもの、本来の俺では無い。

俺は、孫正義のように60代になっても類稀なる向上心と野心でビジネスに没頭する男になるはずだったのだ!

これは、もしや、俺の中に宇宙から来た、外来種、脳のホルモン分泌を抑制するなんらかの生命体が寄生しているに違いない。

何者かの陰謀で俺から成長意欲と野心を奪い取ろうとしてるに違いないんだぁ!

たぶん、歳を取るとはこういうことなのだろう。

10年前は、成長意欲の無い中年を見てバカにしていた。

今は、22歳の就活生から「仕事で成長したいんです!」って言われたら「うんうん」(何言ってんだこいつ^ ^)

ってなっちゃうんだきっと。

悲しいよ、そんな大人。俺は松岡修造のような、ルーキーズ川藤幸一のような、そんな大人になりたかったはずだ。

明日にときめけ!夢にきらめけ!

実際は現金と酒くらいにしかときめかないぜ。。どうしたものか。

 

何より、年齢のせいにするのは良くない話で、歳を重ねても異常にモチベーションは高い人がいるにはいるわけだ。

 

一体あの人たちの欲望の大きさはなんなんだろう?宇宙の支配者にでもなりたいのだろうか?

安定した生活とお金と肩書きを得て、それ以上何を望むのか?

なぜディズニーを越えたいのか?なぜロケットを飛ばしたいのか?なぜオンラインサロンを開くのか?

わからない。

でも、そういう人たちを羨ましくも感じる。

俺は所詮、かつて自分が見かけた、通勤電車でマンガ読むマンと同じレベルいっぱしの小市民。この広い日本のone of them。一般ピープル。どこにでもいるスライム。希少価値ゼロ。漫画読むマン。

 

でも、今の肩の力の抜けた自分もそんなに嫌いじゃない。

仕事を一通り頑張って、一週して、仕事で得られる喜びも、悲しみも、愛しさも切なさもなんとなく分かったこの頃。

仕事に昔より多くを期待しなくなった代わりに、冷静に向き合えることも増えた。

 

そんな自分が嫌いじゃない。

自己肯定大事。

 

俺はきっとまだ、頑張れる。